晩春/
非在の虹
私自身の
昆布〆を食べる
という日常
の先にある血のついた手
交尾の記憶も生しいままに
後悔をしながら
新茶の香りを楽しむとき
にわかに起こる
彼方のなだれ
氷山の崩壊と
吹雪の中の
激しい出血
誰も手当ても出来ぬままに
私自身が死んでいく
というあらがい難き想像
どうしても生きられない
どうしても滅びる
文字と空間
に描写されてゆく
畳と砂刷りの壁
いずれも
私自身が死んだ者として
立ち上がる。
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