生まれたことについて/たちばなまこと
 
きみのペースに生きている
ゆるまったり急いたりして
かたちを自在に変えながら
音楽を奏でるいきもの
春の空をゆびで容易くひろげて
降りてきたきみなのでしょう
川辺の花に鼻をよせ
草にむしゃぶりつくいもむしを手に招き
かわいいんだよと歯を見せる肩越し
雲は風のきまぐれに流れ
空気はたいようの生活についてゆく

わたしには
同じ顔をした母と
同じ哲学を持つ父と
妹と
弟がふたり
きみには
美しい母と
司祭のような父と
妹と
弟がひとり
わたしに壊れている部分があるとしたら父の不在と台頭
きみが渇望している母の存在

受け入れた 受け入れられた
生まれ
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