窓 /
服部 剛
神保町の古書店でみつけた
亀井勝一郎の本を開く
薄茶けた頁の紙を捲れば
文中の「純粋」の粋のところに穴が開き
前のページの「醜」という字が穴に重なり
「純醜」という言葉になった
まったく違った意味である
二つの文字が、一つになり
違った二つを抱えたそれは
まるで私のようであり
まるでこの世のようであり
ぱたん、と閉じた古書の上には
?がひとつ、浮かんでいた
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