雑感 3/るか
 
作品は成立するし、「新たな」「独自の」内容には新たな酒瓶を用意しなくてはならない。形式の是非を判断する場合には、そこに盛られている内容の新旧だけでなく、その意義をも問われるべきであろうが、そこにおける批評が著しく欠如しているのではないか。たんに新しいことは何ら価値を有さない。多くの場合、ラベルを変えた新商品の新しさに過ぎず、その抒情を底流しているものは余りに単調な叫び声に過ぎないことが問題なのだ。
 表現は関係を媒介するもの。芸術は断絶や疎隔をも含めて関係性の営み。
 新たな修辞論は関係性の領域を問うことなしには不毛に終わらざるをえないだろうと思う。修辞の受容者における認識プロセスの問題である。

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