カシオペヤ/さき
 
気付きもしなかった寒さが
心を貫く
お前
そこに一人で
平気なの


砂漠を凍らした夜風が
鼻をツンとさせた
まだ今日も終わらない
この夜は今
始まったばかり


一人のベッドで手足をすり合わせる
エチオピアの美しい女王
誰かに恨まれる人生も
誰かに助けられる人生も
どちらもごめんだ
私は私だけでも
そこにある
そんな自分に
憧れていた


地平線が近づいては
また消えていく
暖かい寝床は
見えている今
ここにはきっとないんだね
一度見た夢を
覚えた後の冬の夜は
深々と
世界をただ
暗く
食んでいく


気付きもしなかった寒さが
心を貫く
気付いた私は
ここに一人では
いられない


忘れてよ
あの一言を
忘れてよ
寂しいなんて
思わせないで







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