染まれ、落日よ/マーブル
かる色合いが熱く焦げてゆくところとか、宇宙へと繋がる空の層を見上げると、僕をやけに僕自身にさせてくれる。
そう。空洞になる。なにかに満たされた空洞だ。
この時僕は記憶に縋ったりしていない。感傷的にもなっていない。今を感じている。明日のことは頭にはない。僕の岸辺に辿り着くための時間であるように、全てが開放された時間だ。まっさらだ。僕は佇むというより、ぽっかりこの地球に浮かんでいるような気持ちになる。
そしてしんとしている。
見守るような気持ちで夕陽を遠くから眺める。
僕が僕である為に。
染まれ、落日よ
金色の穂が透明なゆらぎに名前をつけてもらったらしい。彼らの名前は安らぎ。行き場を定めない放浪者の口笛はこのアスファルトに朦々漂っている。
うなだれたダリアと
水平線と
染まれ、落日よ
永遠に続く線路のよに
おまえの影さえも
消せずに
染まれ、落日よ
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