10-31/はるな
 
。でもそれは些細なことだ。彼らの思い出話のなかに、わたしが登場するのはどこか不思議な気持ちにはなるけれど、決して不愉快なことではない。
それにわたしは何にも絶望していない。これはきっと重要なことだ。街へでると、あまりにも多くの人が多くの種類の絶望を持っていることに驚いてしまう。誰しも、理解しあえない領域で苦しんでいる。その上澄みで会話をすることを、恐れるか、受け入れるか、それだけの違いだ。

なんにせよ、七回目の十月三十一日だ。それはこの七年、一年のうちでもっとも重要な一日であり続ける。ただしその重要さにはだんだんと埃が積もる。七年。それが長いのか、短いのかわたしにはわからない。これからもきっとわからないだろう。でもわかろうとしているべきだ。笑ったり怒ったりして、時間を理解しなければならない。

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