御伽話その3〜俺はプリンス〜/永乃ゆち
唯の猫だ。
それでも。それでも。
「ニャーオッ」
お嬢さん。
俺。
アンタを守りたかったんだ。
俺は。
急に自分が恥ずかしくなって
夜の闇に逃げ込むように
ひとり、走り出した。
アンタを・・・。
----------------ある日ペルシャ猫のシャランは
同居人のくるみ割り人形が恋だのと言い出すので
忘れかけていた思い出を
夢の中
うつらうつらと
思い出していたのです。
それは、静かに雨の降る
優しい悲しい、夜の事でした。
Fin.
戻る 編 削 Point(1)