御伽話その2〜優しい傷跡〜/永乃ゆち
女=主婦ではないのだな
まったく、主婦という生き物は・・・。」
しかしそれは、実は世間知らずな私の間違った観念で
主婦だからどうこうではなく、彼女だったから、
なのだ。
「じゃぁ、あなたはどうして欲しいの?」
少し優しく言うと
優しく返ってくるかと思いきや
「もっと積極的に“理解”させなさい!
こんなやり方じゃ駄目ですよ!!」
上目づかいに
人差し指をぴんと伸ばして私に向け
私のこれ迄を全否定して、彼女は言った。
あの時だ。
あの時すでに。
私は彼女が好きだった。
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私が爪を磨くのは
そうよ貴方
貴方の為に
私が髪を結うの
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