御伽話その1〜くるみ割り人形の恋〜/永乃ゆち
かったシャランも黙りこくって
うつらうつらし始めました。
雨の音を聞きながら。
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恋とはかくも理不尽で独りよがりでわがままな
禁断の果実
けれど誰もがそれを欲しがり
憧れ、知りたがる
ねぇ、愛しい人
世界が恋であふれたら
きっと滅んでしまう
ならば最後の最後まで
ただにこやかに
華やかに
踊りましょう
揺れましょう
ねぇ、愛しい人
わたし果敢にも
あなたに恋しているわ
けれど誰にも
教えないのよ
だから誰にも
汚せないのよ
わたし独りで
飲み込むのよ
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くるみ割り人形も本当は
すでに恋をしていたのかもしれません。
Fin.
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