物語?半物語?物語/葉leaf
る。その基準として、私は「物語」という言説のタイプを選ぶことにする。廿楽の詩はどのような意味で物語であり、どのような意味で物語でないか。そして、それが書かれまた読まれる場合にどのような物語を伴わせるか。
1.半物語
〈転居〉
家賃はこんなもんだろう。すこし古いが、若いうちはこういう平屋も経験さ。三日ばかりふたりで住んでいると、縁側から見える海が、すこしずつ膨れてきた。津波にしてはいやに緩慢だが、用心してあまり眠らないことにしよう。言ってるそばから、覇気のない波が床にぽわんとあがってくる。やばいな、これは。だって家賃がこんなもんだから、と妻はのんきなことを言っている。こら、いいかげんに
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