文学の夜/MOJO
 
 新宿御苑の新宿門にほどちかい雑居ビルの地下にそのバーはある。フォーマルなバーではなく、ロックバー。
 扉を開けると、ツェッペリンやZZトップの大音量で、一瞬、身体が外に押し返されるような気がする。照明は薄暗い。7人も座れば満席になるL字型カウンターと、奥のコーナーにはソファーが備え付けてあり、ソファーには大抵酔いつぶれた誰かが眠っている。大音量のなか、よく眠れるものだと思うが、寝顔は皆穏やかである。
 カウンターの内側にはママが居る。通称アキちゃん。彼女がこの店を朝まで仕切る。『モー娘。』のヨッシーに似た、なかなかの美人さんだ。 
 メニューはなく、客の殆どが焼酎ジンロのボトルをキープして
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