バーについての記憶/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
前から気にはなっていた。
時々、かつて住んでいた街を歩く事がある。
別居した女といた、思い出深い街だ。
何回目かの散策の時、いつのまにかその店は開店していた。
駅前から少し離れた、大通りに面した小さなビルの、なにかの小説にでも出てきそうな、小さなバー。
いかにもジャズが流れていそうな、こじゃれた店だった。
気にはなっていたが、ガラじゃないと思って、入ったことはなかった。
今年、別居をきっかけに、そのバーがある街へ戻ってきた。
その後、仲間内のヤボ用でバーに入ってみることになり、いい機会だと思い、行ってみた。
カウンターに座り、見渡す。
レモンハートに出てく
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