夜中になれない夜へ/c
ごまかせない背中の線を
舌が、背骨を1本ずつ折っていくように
移動する(冷静に)
ふと、溶けてしまった金魚を想う
泳ぐのをやめた金魚のように
わたしはぐったり横たわり
白くなってしまった身体を舐めている
あなたを密かに軽蔑しているのです
溶けるまでまっていた
わたしの家族は金魚が水に還るまで
まっていた
(やめて
わたしの、骨を、溶けるまで、舐めているつもり?)
正気を保ったままのセックスが
生ぬるい空気を吐きだすエアコンを困惑させている
夜中になれないわたしは
こうしていてもやはり1人で
ひとりは嫌だから酸素を怨むあなたを妬む
そうしてわたしは金魚を想う
金魚を溶かした水槽は
日がのぼる前に太平洋に沈めたのだった、
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