天のポスト /服部 剛
 
いま「時」は体を傾(かし)げて、私にふれる 
あの不思議な金属音に 
私の感覚はふるえる、そして感じる 
私にはできると―― 

(それは遠いスクリーンに 
 映し出されている、まことの夢) 

ぴたり、と止まった永遠(とわ)の世界を 
繰り返される日々の世界に 
重ねて視る時 

手許の小さいものさえも 
生きものになり 
何かを、語り始める 

そうして私は、知るだろう 
日常の些細なものこそ 
無限の愛をそそぐべく 
愛しさを秘めていると―― 

かれらの囁きに耳を澄ます時 
生まれる一篇の詩という手紙を捧げるように  
この両手を一杯に伸ばし  
目には見えない天のポストに、投函する 







戻る   Point(6)