天のポスト /服部 剛
いま「時」は体を傾(かし)げて、私にふれる
あの不思議な金属音に
私の感覚はふるえる、そして感じる
私にはできると――
(それは遠いスクリーンに
映し出されている、まことの夢)
ぴたり、と止まった永遠(とわ)の世界を
繰り返される日々の世界に
重ねて視る時
手許の小さいものさえも
生きものになり
何かを、語り始める
そうして私は、知るだろう
日常の些細なものこそ
無限の愛をそそぐべく
愛しさを秘めていると――
かれらの囁きに耳を澄ます時
生まれる一篇の詩という手紙を捧げるように
この両手を一杯に伸ばし
目には見えない天のポストに、投函する
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