廃線/
subaru★
海沿いを走る列車が
波飛沫を浴び
潮風を喰(く)らってサビまみれだ
通りすがるたびに
このリビングに軋(きし)む音が
クロスに跳ね返ってこだました
生活の一部となった音が
忽然(こつぜん)と聞こえなくなる
普段と変りないはずの
今日一日が
世界が終わったかのように
とても静寂で冷たくて薄情で
ここが誰一人いない
雪原だと錯覚してしまう
煩わしいと感じた音が
こんなにも愛しかったなんて
戻る
編
削
Point
(24)