廃線/subaru★
 
海沿いを走る列車が
波飛沫を浴び
潮風を喰(く)らってサビまみれだ

通りすがるたびに
このリビングに軋(きし)む音が
クロスに跳ね返ってこだました

生活の一部となった音が
忽然(こつぜん)と聞こえなくなる

普段と変りないはずの
今日一日が

世界が終わったかのように
とても静寂で冷たくて薄情で

ここが誰一人いない
雪原だと錯覚してしまう

煩わしいと感じた音が
こんなにも愛しかったなんて

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