雪が丘/ballad
雪が吹き荒れている日には、暖炉に物語をくべる。私たちの家には魔女がたくさん住んでいる。寒さの凍えた手に、温かい息を吹きかけるたびに、手のひらから舞い上がる白い魔女達。それが部屋の中に消えていく。
これが私たちの古い魔法なのよ、と、私の祖母が私の手を彼女の皺だらけの手で包みながら囁いた時、私は、一つの断崖にいたわ。風が私の髪をさらおうとして失敗するたびに、風はまじないの力を失って落下していく。失われたまじないは冬に、戻ってくるの。この手の中に、この息でよみがえって消えていくために。
私は落下し続けた一つの言葉の中で、濡れている。濡れていた私の体の中にまじないが寄り集まって温かさを蘇らす。よみがえったまじないが部屋に消えていき、この部屋の中を文字や言葉で埋め尽くす。それは見えないけれども、たしかに囁かれ続けて、この吹き荒れる雪の中でも、この私を守ってくれるもの。
私たち落下し続ける一つの想像力。私は一つの落下し続けた言葉。私は、より多くの薪をくべるために暖炉に近づく。そっと知らないものが私の手を引いていく。私はその手に身を任せる。
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