ユウガタ/瀬崎 虎彦
 
夕方すぎのロマンティク

真空の一歩手前
わたしの首を絞める君の手のぬくもり
脳が酸素を欲して叫んでいる
それは苦痛ではない
意識がはがれそうになって
君の温度がしのび込む

夕闇の中のアンダンテ

記憶が一瞬途切れているらしい
音節ごとに区切られて
わたしたちという関係性が
宙に浮かんでまた沈んでいく
見送るようにテールランプの行列
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