魂の器 /
服部 剛
僕等は、いつのまにか
否応無く人生という列車に乗っていた
やがて、この列車は
御他聞漏れず地上から浮遊してゆく
いつか、必ずブラックホールの暗闇を
一度は通過するという
だから僕はあの日、飲み屋の暗がりで
友達に「この世は夢だ」と語らいつつ
互いのグラスを、重ねた
もし、この世が全て消える
夢ならば
僕は魂の器を沈黙の闇にそっと置いて
何処からかそそがれる
ひかりの液で充たし
この胸に輝きを増すたった一つの魂を
今日という日に、放射する
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