ぼくは電話で話したかった/天野茂典
声をかけるというのが
悪いことではないことを
あなたはぼくに教えてくれた
ぼくは人によく声をかけるのだ
話し相手とすこしでも親しくなりたくて
内心いやがられるのではないかとおそれながら
好意を持ってはなしかける ムードメーカーだと
いってくれた人もいる ぼくはぜんぜんそんな気で
話しかけているのではないが 結果的にはそうなるのかも
知れない ふだんのぼくはカジュアルでラフなのだが
こと詩人の世界に入ると人が変わるのだ 自分でも
信じられないくらい厳格主義者になってしまうのだ
妥協がない お愛想がない 知
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