夕暮れの坂 /
服部 剛
ある画家の内面を映し出した
目の前のキャンバスには
ふたりの男が描かれ
荷車を曳く者と
荷車に乗る者と
ふたり共、哀しく頬がこけている
その画家は
「生」という題を名付けた
重たそうな足どりで
ゆっくり上る荷車の
不思議と美しい世界の中を
夕空へ伸びる――ひとすじの坂道
戻る
編
削
Point
(4)