きみの歌声を忘れない/石川敬大
 



  そんな老朽化した家屋の
  偲ぶ場所
  なんて
  もうこの世の
  どこにもなくっていい
  壊れてしまってもかまいはしない

  ぼくの
  わたしの
  想いでの大地に
  ひっそりと存在する


  綿毛のように
  繊細で
  パワフルだった


  かれの歌声が
  かれの肉声が
  かすかな風にのってやってきて
  ぼくの
  冷えた大地を
  いっときでも温めてくれれば
  それだけでいいんだ



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