ある家族/さすらいのまーつん
 

親父の前で両腕を広げて 二人の子供を守り続けたお袋
そんな彼女にぶら下がって生きていくことに 小さな心は痛んだ
愛と依存の違いが 分からなくなった
沈んでいく船に 差し伸べられる手はなかった
そしてお袋は 出て行ってしまった

だが何があろうと 時間は流れていく
死んだ魚のような目をして ドブの中を漂っていたはずの俺が
いつの間にか君と こんなところにいた
イチョウの枯葉が舞い始めた 白い石畳の並木道に

幸せそうな親子を見て ほのぼの出来る様になったのは
つい最近の事だ
そんな自分を 好ましく思っている
美しいものを見て 温かくなること
俺はやっと人間に 戻ろうとしているのかもしれない 
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