嵐の夜を真似て交わる/あまね
 
海になる体へ雷の槍をふらせる 
うねる波の頭の 
ひとつひとつへと 
国産みの神を模倣して 
空になる体は 
すみやかに 確固とした 
愛の執行を撃ちつける 
脊髄どうしがリンクして 
ナルシスを交換するとき 
この体を作り上げてきた 
痛みと喜びの 
総量を注ぐ 
産まれてからの呼吸の数 
拍動の数 
歩みの数 
とめどない奔流を吸いこむとき 
歌に似て細く高く響く音 
火花がすべての色を経て 
やがて混沌へと飽和するころ 
届く頂点に生まれた原石を 
力の限り握りしめたい 
古の神々の営みを 
正しくなぞりあげて 
空になる体と海になる体は 
最果てまでを照らす 
気高い星をつくる 
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