【 雨粒 】/泡沫恋歌
てのノイズを遮って祠の中に閉じこもる
少しでも触れようと延ばした わたしの手を
あなたは冷たく払い除けた
虚しく空を掴んだその手に 一粒の種をくれた
それは創作のエナジーとか詰まった種子だった
良く育つように
良く育つように
そういって わたしのために祈ってくれた
一粒の雨粒が水紋となって広かっていく
あなたから手紙がきた
それは一言添えただけの絵葉書
熱いダージリンティを飲み終えたら
赤い合羽を着て出掛けよう 傘はいらない
雨の中いきおいよく水たまりを踏んで
小走りで取りに行こう
家から少し離れた あのポストまで
手紙はポストから取り出した瞬間
雨粒たちに掻き消されて
文字が読めなくなってしまった……
たぶん
それはあなたのノートの切れはしに
書かれた複雑な記号だったかも知れない
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