芸術家の手/甲斐マイク
 
ぼくたちは
霧の深いなかを出かけていった

みどりときいろの
あたたかいマテリアルの服を着て
うたかただった

電話がかかってきた
すぐれたいたずらだった

天国のくらやみで
3つのモニュメントを眺めた

うつくしかったり、
はかなかったりした


-昨日あって、今日ないもの 昨日なくて、今日あるもの-


ぼくたちは結婚してもよかった
いっしょに死んでもよかった

映画スタアになってもよかった
魚料理を覚えてもよかった

でも、しなかった 死ななかった
ならなかった 覚えなかった

背中合わせにもたれて
ぼくたちはなにか言いたかった

日付のない日
胸に“7”のタトゥウをした
あの偏愛のティインとの
ながい ながい ながい
1日

戻る   Point(3)