やさしい爪/甲斐マイク
 
きみはもう
灰色で、
さわれば冷たかった

キャンドルを
ふきけそうとするたびに
きのうの感触がのこるなら
もうそれより先にあるもの
そのすべての秘密を知るのは、せつない

いとしいひとよ また会おう
ある日 どこかで また会おう

文字のない字幕のように
言葉のないトオキイのように
きょうはもう、きのうではないのに

謎めいた形而上絵画に
きみを埋めるには
どの色も、足りない

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