午後の枕木/たま
幾世紀もの家族がつながった半島の先端
岬はいつもそこにあって
空と海の高さを測り
見知らぬ明日の水平線を描いてきた
海を渉る鳥たちのために
半島に帰る人びとのために
灯りの落ちたいつもの部屋で
唇をあわせたままHが何か言おうとしている
しばらく逢えないの・・
どうして?
うちに帰るの。お盆も帰ってないし
いつもだけどHのくちづけは幼い味がした
いつ?
あした
台風来てるよ
だいじょうぶ。 あたし、晴れ女だから
夏の余熱を含んだまま雨が降る
すっかり日暮れが早くなってベランダの風鈴の音が
淡く痩せていく
今日
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