『ビニール傘』/あおい満月
雨を眺めていると
胸の奥が軋みだす
いつかの転んだ日の傷を思い出して
こんな日に新しい服なんて
着てくるんじゃなかったと
噛んだ唇に赤く残る歯形
雨の日は
悔しいことばかりを思い出す
たったひとつ、
あなたと出逢った日を除いては
ビニール傘をさした優しい男の子がくれた銀の月が
手のひらに輝いている
もうすぐまた、
あの日がやってくるね
雨が好きになれる日が
わたしも
ビニール傘を持ってあなたを待つ
風が微かに冷たいけれど
平成二十三年九月二十一日(水)
戻る 編 削 Point(6)