河童/……とある蛙
 
はっぽうから ばんばんばんばん とんでくる

たまらん、たまらん、/河童は軽トラの荷台に数個の尻小玉を放り込み/
 ほうほうのていのかっぱがにげる

すたこらやんやと逃げてった。/すたこらさっさ/すたこらさ/
 すたこらさっさとにげてゆく すたこらささとにげてゆく



※おまけ

遠野の山道
峠の途中 一本の巨大な枝垂れ桜
春先にその桜の根元
河童が一匹大言壮語
ボルヘスが蹲る
妖怪という名の実体は夢から覚めた現実で、
その現実の楽しさ辛さ
錯覚したまま空を指さす
狂態の外側を覆う大気は循環せずに逆流し
夢から覚めたまた別の夢
遠野の山道に孤立する。

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