なつ、むらさき/
橘あまね
赤い感情と青い記憶とを
つむいで
むらさきを織る
夏の恋
ひざまでの深さのつもりで
いつのまにか飲みこまれている
息継ぎに顔をあげるたび
水面にゆれる ほほえみに似た光を
肺にかさねる
けものだったころの熱がそびえて
自転に合わせて
等しくきざまれる
心臓は季節に繋がっている
まばたきを置き去りに
むらさきを織る
ひと夏の恋
陽ざしに溶かされて
どこまでも溺れる
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