ひまわりが咲く季節/佐藤伊織
世界が壊れて
拡散していく私たちはそれを
全身で受け止めた
放射能の雨
あの光の咲く園
大きく息を吸い
鮮烈に燃える火を盗み
走った
走った
恐れるものはなにもないし
明日という言葉もなかった
ただ
愛する者に
平穏な死が来ることを
願っていた
いま 真っ赤なひまわりが
私の体内を貫いて
咲き誇ろうとしている
赤くただれた肉片のように
昨日泣いていた君が
ようやく今笑ってくれた
笑顔が蛆虫に犯されるまで
私は見ていてあげるから
どうか
安らかに
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