呪文/あおば
れないで我慢する
やせ我慢の土地柄なので
節電意識も遺伝したのか
3才の子供も汗疹を息でふうふうしながら我慢している
それを見てはなんでスイッチが入れられよう
地デジ化していないアナログテレビの上にはくるくるの蚊取り線香
奴等の季節はこれからだ言うように呪文の煙を立ち上げて
すべての苦情を却下する
少しの隙間からも
網戸を拡げるように入ってきて
ブンともいわずに刺すんだ
痒いよう
暑いよう
眠くないよう
譫言のように唱えながら
眼をぱっちり開け
天井を凝視する
彼はもうじき眠るだろうと
親の私は確信したが
信じていないあなたは
ずっとずぶ濡れさ
「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作を改題
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