天の声 /服部 剛
 
世界を征服した、孤独な高い塔の上から 
広い地上を見下ろすより 
たった数人で集う、ひとつの場所を 
素朴な日向(ひなた)でみたしたい 

「私は正しい人である」 
と胸を張るより 
「私は正しくなれません・・・」 
と頭を垂れる稲穂になりたい 

時折、天から吹き渡る 
(風の目)が、空にひっそり目蓋(まぶた)を開けば 
地上の小さきものにこそ 
「愛しい吾子(あこ)よ・・・」と呼ぶでしょう 






 
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