がらくた/遠藤杏
あなたに会いたいと願うとき
わたしはわたしでなくなってしまう
心臓からするすると腕がのびていき
あなたの髪の毛をわしづかみにする
そうして
セメントがぱんぱんにつまった両手で
あなたの頬にふれたとき
わたしが思い知る事実なんて
ほんの些細なことばかり
飲みこまれていくのを横目にみながら
遠くで猫が笑っている
ひそひそ声でふざけた嘘を吐く毎日を
わたしとわたしが睨んでいる
選択?
選ばれた
選ばれし人格者
ただ一瞬のためいき
光の位置
無限
あなた
あなた
あなたの
その表情はわたしをわたしに戻したりなんかしない
いつまでも
べっとりとわたしの脳みそを汚すだけ
川の流れにのせてすべてを流してしまったら
きっとまたわたしは
あなたをつかまえに行くのだろう
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