夢猫/たま
わがままなあなたのReは愛しても
まだ足りないと盗みいるひと
雨の夜は朝がこないとテレビのなかの猫たち
雨でも散歩はできるよね、と
傍らのちいさな犬はぽつり
おやすみが言えなくなって眠れないわたしはパソコン
深夜料金ではたらく皿洗い機はおかまいなし
まだ蒼いスモモのように
夜はいつまでも落ちなかった
この部屋が空っぽになったら
夜は熟れて落ちるだろう
そして、わたしはふかく眠る
目覚めた部屋には、夏が満ちているだろう
ふり返らない明日を生きて
終わらない桜若葉の夢はあの世に持っていけばいい
もがいても
もがいても
足りない人生なのだから
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