★115 カエレナイ、ボク/
貴水 水海
僕は
空の果ての妖精の国から
堕ちてきた
偶然君の胸にとまった
君は僕に優しかった
暑いときは
金魚柄のうちわで僕を扇いでくれた
寒い時は
赤いリボンの手袋で暖めてくれた
でも小さな小さな僕は
人間に勝てるわけがなかった
ましてや男性には
妖精の国に帰れない僕は
地の果ての機械の国に向かった
今は
ただ機械のように
息をしているだけ
生きているだけなんだ
もう1度君にあいたい
もう1度君にあいたいよ
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