明月によせる/
あまね
ちりちり、ちりん
しゃりしゃらん
秋のはじまりの夜は澄んで
いくつもの水面に映し出される
まるい光を数えて歩きます
ふくらんでいく気持ちが
ぼくの肋骨を、内側から
甘く、うずかせます
ずっとそこにあった気持ちが
光をあびて
急速にはぐくまれていく
弱さにもとづいた強さと
強さにもとづいた弱さ
やわらかく香る花のように
光に向かって
ちりちり、ちりん
しゃりしゃらん
遠い街で、おなじ月を見上げる
きみのことをおもう
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