視線/御笠川マコト
 
いつものエスカレーター
朝の陽の中、目の前で
細い髪が揺れる
思わず手を伸ばして
触れてしまいそうになる

記憶が輪廻する
九月最初の日
通勤客の人の波
蓮の花のように
浮かんでいた
その人の存在を尊重したくて

僕は視線を外さない
僕は視線を外さない
僕はキモチを外さない
僕はキモチを外さない
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