亀のつぶやき /服部 剛
今日の入浴介助は
全身をばねにしてバリバリ働くAさんと
一人すろーに働く僕のペアで
一人のお年寄を介助する間に
Aさんは三人位してそうで
天井あたりから
数時間の動きを見ると
何だかとっても滑稽な
チャップリンの無声映画に見えて来る
昔は介護に関しては
(早けりゃいいってもんじゃない)
と頑固に愚痴ったものだが
中年親父になりつつある僕はようやく
(世の中は、兎と亀で回ってる)
ということがわかってきた
亀の歩みの僕でさえ
日々の暮らしを人並に
汗水垂らして生きてると
いつのまにやらとっぷり陽は暮れ
夜の公園のベンチに腰かけ
上から照らす街灯を頼りに
こんな詩をノートの白紙に綴っています
亀はじいっと、考える
一日の快い疲労と共に
自分の信じる世界を創る
素晴らしい明日の舞台を夢に見て
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