遺書にはならない足跡/セグメント
 
ない人々でも全く身体的に影響を受けていないとは言えないのではないだろうか。
 目視出来ない放射能のことであるし、私にはそういった分野での専門的知識などは皆無に等しい。私に出来ることは垂れ流されるインターネット上でのニュースを追い掛けて読み、一喜一憂し、自らの身を守る為に行動するのみである。自らの身を守る為に――そうは言ってみたところで出来ることなど、それこそ皆無に等しいのだ。今回の出来事に関しては人の数以上に様々な影を誰もの心に落としたのではないだろうか。私は明らかに震災以前と以後で根本が変わってしまった人間の一人だ。
 しかし、私は関東に住む人間であり、実質的に被災したわけではない。家は無事
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