遺書にはならない足跡/セグメント
 
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 ここにこうして書き記すことに何の意味があるだろう。何の輝きがあるだろう。何の翳りがあるだろう。私は最早、誰に伝えることも意味があるとは思えなくなってしまった。ここで言う「誰」とは、厳密には私が私であるということを知る私の身内、友人、知人などを指す。よって、私を私個人と知らない「誰」に向けて、こうして足跡(そくせき)を遺すこと、あるいは伝えること、あるいは散らすことには何の意味もないとは現時点では少なくとも私は思えない。思いたくないのかもしれない。はたまた、私はただ自らの心情を体系立てたいだけ、整頓したいだけ、組み立てたいだけ、書きたいだけ、言いたいだけ、伝えたいだけ、吐露したいだけ、
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