ホームステイ/北村 守通
ったので、私と同居するより快適な空間であるように思われた。
ふと、まとわりついていた空気が流れ去り、体の周りが軽くなった。私は押し出されるようにしてトンネルを抜けた。彼女が居なくなったと思った。確証はなかったが、確信はあった。確証を得るために何をするべきかはわかっていたのだが、それを今行うことは適当ではないように思われたので、しなかった。
私は十分な距離を進んでからトンネルをふりかえり、お別れをいった。けれどもやはりトンネルとコミュニケーションをとることはできなかった。
戻る 編 削 Point(2)