絵画/花キリン
色づけは賑やかにした。表現は自由だからと複雑な視点を置いた。真っ白なままの表現もあるのだろうが、真っ白のままでは、万の捉え方があって複雑過ぎるから、色を自由に塗り重ねていくことにした。何を描きたいのか、我儘な思いが筆先から匂い始めて来ると、大胆な線が斜めに走ったりする。抽象的なものを抽象的に描くのは苦手だが、思いが座ると一枚の画用紙が深みを増してくる。唐突さを表現する色を探しながら、自分の体が賑やかに色づいていくのがわかる。両の手で大きな丸を作り出して、そこに入る範囲が絵画の大きさなのだろう。複雑な角度を幾つか手に入れて、絵画を鑑賞してみる。距離はそう遠くはなく、手を伸ばせば思いの色に手が届く。画家とは観賞される位置にいつも存在しなければならないのだろうか。画家の顔は画用紙の裏側にひっそりとあればいい。そう思いながら二人称の位置に立ちながら、色づけをより複雑にして困惑している。
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