風景の記憶/
真山義一郎
丸くなって目を細くして寝てる
気持ち良さそうに
俺は雪駄で歩いていく
そうだ
季節は今も
夏
でもよ、
お前と過ごした
あのアパート
カラオケボックスになってて
しかも、そのカラオケボックス
ぶっ潰れてて
でも、俺はやっぱ三階の
あの窓を見上げる
窓から
お前が顔を出して
笑ってくれんじゃねえかと思って
昔の姫君みたいな
あの顔で
太陽が眩しい
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