無題/渡辺亘
言葉の海に抱かれて
今日もシュールな夢を見る
だからって満足なんかしていないよ
僕の主張は重いよ
幸せか不幸せか聞かれたら
ちょっと困ってしまうな
そんな逃げ場のない
質問をしてくれるなよ
僕の身体の中に
重い大きい石が嵌め込まれていて
ちょっとやそっとじゃ取れないんだ
出血も覚悟しなきゃいけないしね
言葉なんて軽いもんだ
僕の重さを
ちょっとも表現できない
僕は一本のデクノボーになって
宇宙の終わりとやらを見つめていたい
産まれた時は
だいたいの赤ん坊が
オギャアと泣くけど
あれはモーツァルトだね
オギャア オギャアと
あの声こそが
宇宙開闢の音に違いない
誰かを嫉妬するなんて
そんなことない国にいきたいけど
ここを去って
どこへ行こうと言うんだか
どこへも行けないくせに
どこかへ行くなんて言うんじゃないよ
とぎれとぎれに聞こえる
詩神のささやきは
僕に宿ったけど
今日は人生の中の
ただの一日
ただの一日なんだよ
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