夏、未明に/
甲斐マイク
吐き出したいきでつくる
まあるい世界があって
けわしい亜熱帯のまんなかを
半ば溶けた自動車が走る
虹に飾られたハイウェイ
信号はすべて青
彼女はリンゴをかじる
分厚い密林をくぐり
ドライブ・イン・シアタアを抜けると
道の行きどまり、もうむこうは海で
ぼくたちは
いま
真空の日ざしのなかで
防波堤のうえに立っている
世界は夏を完備した
リリカル
な
箱である
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