夏、未明に/甲斐マイク
 

吐き出したいきでつくる

まあるい世界があって

けわしい亜熱帯のまんなかを

半ば溶けた自動車が走る


虹に飾られたハイウェイ

信号はすべて青


彼女はリンゴをかじる

分厚い密林をくぐり

ドライブ・イン・シアタアを抜けると

道の行きどまり、もうむこうは海で

ぼくたちは

いま

真空の日ざしのなかで

防波堤のうえに立っている


世界は夏を完備した

リリカル



箱である


戻る   Point(2)