現実の話/榊 慧
「褒められたりすれば単純に嬉しい。」
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俺は共感とか理解とかこのままずっとされないんではないだろうかな、でもそれって多分普通なんだろうな、なあ。トーはそう思ったからそう口に出して呟いた。瓶に入っている毬藻だけがそれを聞き流す。有機物。
みんなみんな理解しているフリをしているだけなんだよな、理解しているって言ってる人は理解しているっていうアピールをしているだけなんだよな、そんでそのフリが完璧だと思ってるから俺がこう思ってる事も当然気付かない。だって出してないもんな。トーの思考には秩序はない。自覚していた。
トーは此処連日眠れていなかった。頭痛が治まらないまま
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